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卒園式

金曜日、娘の幼稚園の卒園式があった。

式では、名前を呼ばれた園児は、全員が歯切れのよい大きな声で返事をした。
卒園証書を受け取る時も、全員が堂々とした態度で舞台に上がった。
そして受け取った後、全員が「ありがとうございます」と礼を言った。

来賓祝辞を含め70分に及ぶセレモニーの間、愚図る子は一人もいなかった。

入園したての頃、親にしがみついて泣いていた子どもたちが、見事に変身
していた。

セレモニーの後、ヴァイオリン合奏のために整列して退席していく子ども
たちの顔は、全員が笑顔に満ちあふれていた。

卒園式に限らず、運動会や音楽発表会やひなまつり発表会でも、来賓の方々
は大抵「これが幼稚園児か」と驚く。

妻は、つい先日の「ひなまつり発表会」で、お婆さん役の娘のために「着物
づくり」に初挑戦し、それが終わった途端、園の3年間を集大成した「手づく
りDVD」制作メンバーのひとりとして、徹夜に近いような日まであった。
DVD制作メンバーの中心は、Kさんだった。
工業デザイナーのご主人から若干のアドバイスは受けたが、すべてKさん
が編集を行った。

そのDVDが謝恩会で流されている間、担任だった先生方は、食事もせず、
涙を流しながら見入った。
謝恩会の撮影の委託を受けた業者が、そのDVDを譲ってほしい、と言った。



理想的な幼稚園であった。

何事も
  上手にできれば褒め、
  うまくできなければ励まし、
  やってはいけないことをすれば叱る。

こんな当たり前のことを、この幼稚園では、当たり前に実行している。
特にひどいことをすれば、園長先生からカミナリが落ちる。



園の入口に、長さ6~7mの小さなトンネルがある。

自らを守ってくれる家族に別れを告げ、
(トンネルの向こうには)
未熟ながらも多種多様な自我をもつ他人と共同生活を営む社会
がある。

トンネルを抜ける間に、子どもの心は甘えから自立に切り替わる・・

などという演出を狙っているのかどうかは知らない。

が、子どもに「けじめ」をつけさせる役割は十分果たせている。

園の基本は「規律」「情操教育」のようである。

元N響奏者で、ちょっとこわいK先生の「ヴァイオリン」、
園児の最も楽しい時間の「絵画」、
園の運動会を見た小学生に「すっげぇ!」と感心させる体育、
長身で優しいカナダ人、J先生の「英語」・・・

いずれも、年少組からスタートし、その道の専門家による「授業」である。
いずれも、園児にとっては、楽しくて仕方ない「遊び」の時間でもあった。
娘を含め園児たちは、毎日、幼稚園に行くのが楽しくて仕方ないようだった。

大部分の子が、皆勤賞または精勤賞を受け取ることからもそれがわかる。



娘が年長組に入ってすぐの頃、男の子が転入してきた。

粗暴な子で、理由もなく、他の子たちを叩いた。
娘も何度も髪の毛を引っ張られた。

園に苦情が絶えず、園長先生のカミナリが頻繁に落ちた。

しかし、園の生活を通じて、その子も少しずつ変わっていったらしい。

その子は、謝恩会で、園長先生の膝の上で甘えていたそうだ。

愛情をもって接すれば心が通じるのだろうか。
もう少し成長してからなら難しかったが、幼児だから変われたのだろうか。
そんな甘いものではないと思うが・・・

地元の公立幼稚園の抽選に、はずれたことで出会えた幼稚園。
厳正だった抽選に心から感謝したい。

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